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Posted by ミリタリーブログ  at 

2012年01月30日

リセット

私は鳥取に帰って来てから19年間、お世話になっている床屋があります

 私の事ですから、コテコテの拘り職人のオヤジが営む床屋とお思いでしょうが
そうでは有りません

 私は、鳥取の床屋を随分まわり自分の気に入った床屋を探していました
歴史は長そうなのですが、当時若いお嫁さんが手伝っていた
この床屋に決めたのででした。

理容師免許の取得日をすかさずチェック・・・平成4年かぁ~
彼女の役目はカット前の下準備とシャンプー&ブロー
散髪や髭剃りはさせてもらっていません
当然私の散髪はオヤジさんの仕事
しかしオヤジさんでは、私の注文に対応できるものではありませんでした。
腕は申し分ないのですが、
やはりこのカットはこう言う物だと言う固定観念が邪魔をします

それでも、私は彼女の容姿がとても気に入ってしまったのでしばらく通うことにしました。
1年半位経った頃でしょうか、私の散髪を彼女が担当することになったのです

とりあえず私は、「刈り上げにして下さい」と、一言だけ
どことなくぎこちない手つきは不安が残るものでしたが
鏡越しにみる彼女は実に美しい! (私の偏った感想)

仕上がりは右と左の刈り上げ角度は違うし揉み上げの位置もチグハグ(涙)
修正を依頼し手直しをしてもらったのですが、
上手くいかずに軽い刈り上げのつもりが
河童の様な髪型になってしまい実にトホホな結果になってしまいました(涙)

申し訳なさそうな彼女の表情も、私には可愛らしく映ったものでした。
私は根気良く通い、彼女と向き合うことに決めたのでした。





今では、「何時もの感じで宜しいでしょうか」の一言から始る良い関係

私はシートに深く腰をかけ、静かに目を閉じます。

シャリシャリと小気味良い音と頭皮に伝わる感覚が心地良い

「今日のハサミは良く切れているな」

彼女の細くしなやかで少し冷たい指先がわたしの頬に触れる

髭剃りのこの時、私は水中にフワフワ浮いているようなとてもリラックスした状態に陥る

夜勤明けの時には「すぅ~」と、寝てしまうこともしばしば

洗髪も実に気持が良い、私は床屋さんでつきものの、ブラシの使用は最初から断っていました

彼女の指先の心地よさをブラシで消したく無かったからなのです

洗髪後、顔のマッサージと耳かきをしてもらいます

事、耳かきにかんしては、母親や妻でも拒否していた私が
唯一許した人物が彼女だったという皮肉なお話

髪を乾かしブローして完成

作業が終了するまでの約60分間、私と彼女の間には会話などありません
世間話など今の今までした事無いのです

私はそっと目を開け自分の生まれ変わった姿に満足し

彼女も仕事を全う出来たことに微笑みを浮かべる

彼女…「お疲れ様でした」

アントン…「ありがとうございます」

それでだけで良い

月に一度ここへ来て
リセットする

極上のサービスを受けてサッパリした、そんな感覚

ただ散髪をして来ました的な、何でもない日常

しかし私にとっては

とても意味のある

とても大切な

 『いぃ~っ』




なのである。 (笑)







投稿者:アントン